聖地・エルサレムで突撃取材!世界のお菓子の起源を求めて、中東のパティスリーに潜入♪【“旅するパティシエ”世界一周!郷土菓子レッスンの旅】

世界一周!郷土菓子レッスンの旅 in エルサレム

こんにちは! 2016年から世界の郷土菓子を巡る旅に出た、“旅するパティシエ”鈴木あやです。

目標は、「国と国、人と人とをつなぐスイーツ・ストーリーテラー」になること。世界中で現地の人々から郷土菓子レッスンを受けながら、レシピだけでなく歴史・文化・暮らしと、立体的にその地域の魅力を発信していきます。

……さて、そんな“旅するパティシエ”ですが、前回はフランスでの郷土菓子レッスンの様子をレポートしました。

そして記念すべき10回目となる今回は、【エルサレムの郷土菓子】ストーリーをお届けします!

中東・エルサレムってどんなトコロ?

ユダヤ教・イスラム教・キリスト教…「世界三大一神教の聖地」として知られる、中東はエルサレム。

その複雑な事情から、紀元前から延々と争いの絶えなかったこの地は、1947年の国連決議で「国際管理都市」とされました。しかし、領有権を巡る紛争はその後も続き、現在でも、特にイスラエルとパレスチナ自治政府との間で緊迫した状態が続いています。

そして、その最前線となっているのが「エルサレム旧市街」。パレスチナ自治政府が首都とみなしている地域の一部でありながら、実情としてはイスラエルが実効支配を続けています。

世界遺産にも登録されているこの旧市街は・・・

ユダヤ教徒にとっては、今では「嘆きの壁」がその象徴となっている、エルサレム神殿の跡地であり……

ムスリムにとっては、預言者・ムハンマドが昇天したとされる地であり……

キリスト教徒にとっては、救世主・イエスが処刑された地であり……といったように、それぞれの宗教における絶対的な聖地が集中しています。

それが故に、この街が火種となってしまうわけですが、それでも信者にとっては聖なる地であることに変わりなく、わずか1㎢ほどの区画が、ユダヤ教徒地区・キリスト教徒地区・ムスリム地区・アルメニア人地区に大別され、それぞれの信者が一定の距離感を保ちながら暮らしています。

中東ならではの郷土菓子って?

そんなエルサレム旧市街にやって来た私、旅するパティシエ。念願の中東へとたどり着いた喜びをかみしめながら、それぞれの地区を探索します。

なぜ念願だったかというと、世界各地には様々なお菓子が存在していますが、その多くの起源が中東にあるとされているから。私たちが普段口にしているお菓子も、そのルーツを細かく遡っていけば、イスラム、アラブ地域の世界へと繋がっていくものが少なくありません。

ヨーロッパのお菓子が伝わった中南米、スイーツ文化を世界中に広めたヨーロッパ……と、これまでお菓子の歴史を逆引きするように旅を続けてきたので、情勢に不安を感じながらも、その終着点である中東はやはり、スルーするわけにはいかない地域だったのです。

ちなみに中東の郷土菓子についての情報は、キッチハイクで東京在住のイスラエル人COOKを訪ね、旅立つ前に予習済みなのでした。ぜひ、↓こちらの記事もどうぞ♪

そして、そんな私の探究心に特に刺激を与えてくれたのが、エルサレム旧市街のムスリム地区

クルアーン(イスラム教の聖典)はもちろんのこと、食料品から家電などの生活用品まで、スーク(市場)にはあらゆるものが集まっていて、特に中東の食文化を知るにはうってつけのエリアです。

この地域の特産であるナッツ・スパイス・ドライフルーツを扱うお店や、それらを巧みに使ったスイーツを提供するパティスリーの数々……お目当てである中東の郷土菓子とその食材に、これでもか!というほど出会うことができました。

中東を代表する郷土菓子、ハルヴァも発見♪ ほかにもバクラヴァをはじめ、中東の広い地域で口にされるお菓子は、宗教上の理由から、豚由来のゼラチンやアルコールの使われていないものが多いのが特徴。また、油分と甘さの非常に強いものが好まれています。

聖地・エルサレムで、アポなし突撃取材!

そんな中、ほかとはまたひと味違った、独特の雰囲気を放つお菓子を発見!

本来であれば、量り売りでのみ販売されている、こちらのお菓子。お店の方が、食い入るようにそれを見つめる私を気にかけてくれ、親切にも一つ試食をさせてくれました(笑)

聞けば、「グレイヴ(Ghraybeh)」という名のこのお菓子。口に入れてみるとそれは、中東の郷土菓子に対するイメージをガラリと変えてしまうほど、素朴な味わい!例えるなら、甘さ控えめのきな粉といったところでしょうか?

そして、ふと店の奥に目をやると、ガラス張りの厨房内で、まさにグレイヴを作っている職人さんの姿を確認できるではありませんか!

「アルアセール・スイーツ(ALASEL SWEETS)」

  • 場所:エルサレム(エルサレム旧市街の22番地)

うぅ~ん、これはぜひ取材をさせて頂きたい…!でも、ここはなんといっても、“聖地” エルサレム。今までの調子で、「一緒に郷土菓子を作らせて下さい!」…なんて飛び込み取材が、果たして通じるものだろうか…?

恐る恐る、「どうやって作っているの?」「材料はなに?」…と、質問をしながら徐々に距離を詰めていくと・・・

・・・さすが、人懐っこいムスリムの方々! 「いいから入って見ていけよ!」と、むしろ向こうからグイグイと間合いを詰めてきて、あっさりと厨房に入ることができてしまいました(笑)

そして、どうやら “聖地”という冠を意識するがあまり、私が気後れしていただけのようで、あれよあれよという間に、なんとグレイヴを一緒に作らせてもらえることに!

さてさて、それは一体どんな郷土菓子だったかというと……この続きは、レシピと共に後編でお届けしますので、お楽しみに♪

“旅するパティシエ” 鈴木あや

広尾のパティスリー、ペニンシュラホテルのフレンチレストランなどで修行を積んだ後、会員制レストランにてシェフパティシエに就任。「国と国、人と人とをつ なぐスイーツ・ストーリーテラー」になることを目指し、2016年1月から各地の郷土菓子を発掘する世界一周の旅に出発。

●ウェブサイト
旅するパティシエ, 旅する本屋

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