世界一周!郷土菓子レッスンの旅 in ジャマイカ
こんにちは! 2016年から世界の郷土菓子を巡る旅に出た、“旅するパティシエ”鈴木あやです。
目標は、「国と国、人と人とをつなぐスイーツ・ストーリーテラー」になること。世界中で現地の人々から郷土菓子レッスンを受けながら、レシピだけでなく歴史・文化・暮らしと、立体的にその地域の魅力を発信していきます。
……さて、そんな“旅するパティシエ”ですが、前回はキューバでの郷土菓子レッスンの様子をレポートしました。
そして6回目となる今回は、【ジャマイカの郷土菓子】ストーリーをお届けします!
ジャマイカって、どんな国??
ジャマイカといえば真っ先に思い浮かべるのは、なんといっても“レゲエの神様” ボブ・マーリー! 彼の歌にもあるように、中央アメリカのカリブ海に浮かぶ小さな島国 (なんと秋田県とほぼ同じ面積!) ながら、そのルーツは遠いアフリカにあります。
探検家・コロンブスがジャマイカに辿り着いたのが1494年。その後1509年にスペインによって征服され、労働力としてアフリカから多くの黒人奴隷が連れて来られました。1655年にはスペインからイギリスによる支配に代わり、この国の不遇の時代はさらに長く続くことに……。
しかし、1838年に奴隷制度が廃止、1962年にはイギリスによる植民地支配から独立を果たしました。そして現在まで、中米にありながらアフリカ文化をベースとした、独自の文化が息づく国となったのだそうです。
ジャマイカならではの郷土菓子って?
カリブ海諸国には、欧米の植民地支配が長く続いたこともあって、貿易によって世界各国からさまざまな食材が持ち込まれました。
もちろんそれはジャマイカも例外ではなく、元々現地で充実していた農作物に加えて、欧米の食材・調理方、そしてアフリカン テイストも組み合わさって、他のカリブ海諸国ともまたひと味違った独特の食文化が誕生したのだそうです。
さらにもう一つ特筆すべきは、豊かな自然に囲まれた熱帯地域のジャマイカでは、多くの黒人奴隷が砂糖プランテーションでの労働力とされ、結果としてサトウキビの特産地になったということ。
これらの背景から、旧来の主食作物でもあるサツマイモやヤムイモ、ココナッツに加え、各種スパイスやサトウキビを加工して生まれたラム酒などを取り入れた、ジャマイカならではの郷土菓子が数多く存在しています。
その代表的なものの一つがプディング。元々はイギリスの植民地時代に持ち込まれたものと考えられていますが、やはりこれにもジャマイカならではのテイストが取り入れられ、独自の郷土菓子として生まれ変わっています。
ちなみにこれらの情報は、キッチハイクで東京在住のジャマイカ人COOKを訪ね、旅立つ前に予習済みなのでした。ぜひ↓こちらの記事もどうぞ♪
郷土菓子を求めて、キングストンからローカルバスの旅!
……というわけで、まずは初めに降り立った首都・キングストンで、例のごとく、一緒に郷土菓子作りをさせてくれるパティスリーを探します。
しかし、大都会キングストンでは突然やって来た日本人に対して、どのお店もかなり冷たい反応…。加えて、治安が悪い街ということもあり、安心して歩ける範囲も限定されていて、なかなかうまくいきそうな気配がありません…。
諦めかけていたそのとき、ふと、以前ジャマイカを訪れたことのある友人が、料理好きのフレンドリーなオーナーがいるゲストハウスについて、私に話してくれたことを思い出しました。
これまでの経験上、確かに突撃取材のハードルが高いパティスリーよりも、アットホームなゲストハウスに出会うことさえできれば、それに越したことはありません。ゲストハウスでの郷土菓子レッスンといえば、パラグアイやチリでの成功体験が思い出されます。
友人が教えてくれたゲストハウスがあるのは、ジャマイカ北部にあるオーチョ・リオスという街。南部のキングストンからは85kmと、なかなか遠い道のり……しかし、わずかな可能性に賭けて、これはもう行くっきゃない!
……というわけで、キングストンからローカルバスを乗り継いで約3時間、自然あふれるオーチョ・リオスの町へとやって来ました♪
レゲエな夫婦に習う、ジャマイカの郷土菓子♪
到着したのは、オーチョ・リオスの町の外れにある小さな宿「ティナズ・ゲストハウス」。
「ティナズ・ゲストハウス(Tinas Guest House)」
- 場所:ジャマイカ オーチョ・リオス(Boscobel, Ocho Rios, St.mary, Ocho Rios, Jamaica)
そして出迎えてくれたのは、こちらのマイケル(Michael)さん&バーバリー(Beverly)さんご夫妻!
このお二人、ゲストハウスの運営だけではなく、マイケルさんはレゲエ・ミュージシャン、バーバリーさんはラスタモチーフのミサンガを製造&販売しているという、さすがジャマイカ!…なラスタファリアンのご夫婦なのです。
そして、友人の情報通りとても気さくなお二人は、キングストンからはるばる郷土菓子作りを目指してやって来た私の想いを知ると、まるで家族の一員かのように迎え入れてくれ、そして、念願の郷土菓子レッスンを快諾してくれたのでした!
ジャマイカの郷土菓子を教えてくれたのは、料理好きのバーバリーさん。そして、数多あるスイーツの中から彼女が選んでくれたのが、「コーンミール・ポテトプディング(Cornmeal Potato Pudding )」でした!
日本での予習のときと同様、ジャマイカの方がおすすめするのは、またしてもプディング♪ ジャマイカの郷土菓子といえば、やっぱりこれなんだな~と実感したのでした。
バーバリーさんのおばあちゃんの世代から受け継がれているという「コーンミール・ポテトプディング」。想像を遥かに超えたエキサイティングな郷土菓子の詳細は、レシピと共に後編でお届けします♪
“旅するパティシエ” 鈴木あや
広尾のパティスリー、ペニンシュラホテルのフレンチレストランなどで修行を積んだ後、会員制レストランにてシェフパティシエに就任。「国と国、人と人とをつ なぐスイーツ・ストーリーテラー」になることを目指し、2016年1月から各地の郷土菓子を発掘する世界一周の旅に出発。
●ウェブサイト
旅するパティシエ, 旅する本屋