中東・イスラエルの郷土菓子はどんなお味?【“旅するパティシエ”世界一周!郷土菓子レッスンの旅】

連載「世界一周!郷土菓子Lessonの旅」、今回はイスラエル!

こんにちは! “旅するパティシエ”鈴木あやです。2016年1月から、世界の郷土菓子を巡る旅に出発します。

目標は、「国と国、人と人とをつなぐスイーツ・ストーリーテラー」になること。世界中の郷土菓子を発掘しながら、レシピだけでなく歴史・文化・暮らしと、その地域の価値を立体的に学んできます!

……とはいえ、出発前には準備が必要!ということで、年内はKitchHikeを利用しながら、日本に住む外国人COOKの元へと訪ねて「予習」をします♪

前回は、ジャマイカの郷土菓子の予習をするために、東京・豊洲に住むジャマイカ人・Royさんのお宅に訪問しました。

ジャマイカの郷土菓子「ポテトプリン」って?【“旅するパティシエ” 世界一周!郷土菓子レッスンの旅】

第2回目となる今回は、【イスラエルの郷土菓子】
イスラエルへは実際に、来年5月に訪ねることを予定しています!

イスラエルって、どんな国??

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世界16か国から集められた寄付によって完成した、エルサレムの万国教会。

中東は地中海東岸の南部に位置するイスラエル。私たち日本人にとっては馴染みの薄い国かもしれませんが、「アダムとイヴ」「ノアの方舟」なら知っているという方も多いのではないでしょうか?

旧約聖書に登場するこの物語の舞台が、まさに現在のイスラエル周辺地域で、また、その歴史においてユダヤの人々との関係は切っても切り離せません。

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「アダムとイヴ」(アルブレヒト・デューラー作)

1世紀に、ローマ帝国の侵攻でエルサレムが陥落して以降、それまでこの地域で暮らしていたユダヤの人々は国を追われ、その後1700年にわたって、ドイツや東欧を中心に世界中に離散を強いられました。

その後、シオニズム運動や第二次世界大戦におけるナチスの迫害など、さまざまな歴史の潮流の中で、世界中にいた多くのユダヤ人が「自分たちの国をもつ」ことを目指し、彼らのルーツといわれるパレスチナの地へと集まり、1948年にイスラエルは建国されました。

さらに、ソビエト連邦が解体した1990年代には、現在のロシアやバルト三国などから約10万人のユダヤ人が移り住むことに。こういった歴史的背景からイスラエルは、国民の大多数をユダヤ人が占めているにもかかわらず、文化的には非常に国際色豊かな国家として知られています。

イスラエルならではの郷土菓子って??

こういった複雑な歴史からイスラエルには、ユダヤ教信者のための食に関する規定「コーシャ」を土台にしつつ、移民たちが各地域から持ち寄った食文化や、アラブの食文化と調和しながら育まれてきたという、世界的にも希有な食文化が根付いているのだそうです。

※ コーシャ: ユダヤ教独自の食に関する戒律で、薬や調味料なども含むすべての食品において、厳格なルールに適合したものだけ口にすることが許されるというもの。

さてさて、そんなイスラエルには、どんな郷土菓子があるのでしょうか?中東のお菓子といえば、「とにかく甘そう!」とイメージする方が多いと思います。私もまさにその一人なのですが、事前に手に入る情報をかき集めてみると、どうやらその想像は間違いではなさそうなのです……。

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「Halvah」は冠婚葬祭など、現地の様々な行事で出されるお菓子なのだとか

例えば、中近東に古くから伝わるという「ハルヴァ (Halvah)」という郷土菓子。練りゴマに加え、油脂・砂糖・ハチミツなどをふんだんに使った、私たちにとっての生キャラメルのようなお菓子で、レシピを確認するだけで、「この甘さ、耐えられるかしら……」と若干および腰になってしまうほど (苦笑)。

そんな不安も抱えつつ、やっぱり中東への興味が尽きないワタクシ、旅するパティシエ。外国人COOKから直接、郷土菓子のヒミツを探りたい!という気持ちは抑えきれず……。というわけで、今回リクエストを送ったのがこちらのお方です!

東京の新代田で味わえる、イスラエル料理

東京は新代田にお住まいのイスラエル人COOK、ベンジャミン (Benjamin) さんの元へと行って来ました!

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まずは訪ねる前に、KitchHikeを通じてベンジャミンさんにメールで質問♪

旅するパティシエ:
「イスラエルの郷土菓子について、教えてもらうことはできますか?」

すると、一日も空くことなく、すぐにうれしいお返事が!

Benjaminさん:
「もちろん!そういうことであれば、“Syrniki”をごちそうするよ。」

「Syrniki」!? ……これは、前回予習したジャマイカ以上に未知の郷土菓子の予感なのです。しかし、想像していたような中東の言葉ではないような……?

早速、事前にインターネットで調べてみると、“シルニキ”というお菓子を確かに発見!ただ気になるのが、同時にヒットするキーワードは、「ロシア」「ウクライナ」など他の国々の名前だということ。

う〜ん、これは本当にイスラエルの郷土菓子なのかな?一抹の不安を抱えながらも、東京、新代田のベンジャミンさんのお宅を訪ねました。

ほっとひと安心♪ 仲良し国際カップルと初対面

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仲良し国際夫婦のベンジャミンさんとトシミさん

新代田に到着したものの、駅からすぐというベンジャミンさんの自宅になかなかたどり着くことができず、しばらくあたりをウロウロ……。

すると、「あやさんですか〜?」と、突如一人の日本人女性に声を掛けられることに!ベンジャミンさんはイスラエル人であることはもちろん、そもそも男性のはず……。新代田に知り合いなんていたかな!? と、私はちょっとしたパニック状態。

しかもその日本人女性は、「ベンジャミンの家はこちらですよ〜。」と道案内をしてくれることになり、そのあまりにも軽快な誘導に、私も思わず促されるままついていくとことに。

たどり着いた玄関を日本人女性がガチャリと開け、「ただいま〜♪」と声をかけると、家の中から「おかえり〜♪」と一人の男性が出迎えてくれました。

「ベンジャミンさんですか……?」。恐る恐る私が聞くと、「はじめまして、ベンジャミンです。」と、カタコトの日本語で、照れくさそうな笑顔を浮かべながら招き入れてくれました!無事出会えたことはもちろん、物腰やわらかなベンジャミンさんのキャラクターにほっとひと安心。

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シャイだけど、実はとってもお茶目なベンジャミンさん

そして、よくよく話しを聞いてみると、道案内をしてくれた方はトシミさんという日本人女性で、ベンジャミンさんとはカナダの留学時代に出会ったことがきっかけで結婚された、国際カップルなのだとか。

中東といえば現在の国際情勢が象徴するように、デリケートな話題となる部分も多く、質問する上での難しさを感じていた私も、奥さまがいてくれるおかげで少し肩の荷が下りた気分になりました。

そうこうしている間に、シャイなベンジャミンさんはそそくさとキッチンへと向かい、早速レッスン開始!デザートの前に、まずはベンジャミンさんが最も得意だという料理、「フムス (Humus)」の調理に取りかかることに♪

イスラエルを代表する料理「フムス」

「フムス (Humus)」は、茹でたひよこ豆と、ペースト状にした白練りゴマ、にんにく、レモン汁を使った、イスラエルを代表する料理のひとつ。ものの5分ほどで出来上がるお手軽さから、現地では朝食に出ることが多いそうです。

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ひよこ豆、白練りゴマをたっぷりミキサーに入れ、ペースト状にしたら、あっという間に完成!

ベンジャミンさん手作りのピタパン (平たい円形のパン) と一緒に頂いたのですが、得意料理だと言うのも納得!ひよこ豆のやさしい風味の中にもコクがあって、ほおばった瞬間に「おいしい!!」と思わず声を上げてしまうほど感動ものでした。

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イスラエル、ヨルダン、レバノンなどで食されていて、地域によって少しずつ味わいが違うのだとか

日本にある中東レストランで味わったそれとは全く違う、これぞ現地の家庭の味!郷土菓子を学びにきたことを一瞬忘れてしまうほど (苦笑)、KitchHikeの醍醐味を感じつつ、お腹いっぱい頂きました♪

さてさて、お次はお待ちかねの「シルニキ (Syrniki)」の調理です。

この郷土菓子の正体とは?そもそも、本当にイスラエルの郷土菓子なのでしょうか!?
また次回のお楽しみに!

“旅するパティシエ” 鈴木あや

広尾のパティスリー、ペニンシュラホテルのフレンチレストランなどで修行を積んだ後、某レストランにてシェフパティシエに就任。「国と国、人と人とをつなぐスイーツ・ストーリーテラー」になることを目指し、2016年1月から各地の郷土菓子を発掘する世界一周の旅に出発する。

●ウェブサイト
旅するパティシエ, 旅する本屋