食好きに「魚が美味しいまち」としても人気の地域でもある、島根県大田市。
都心からはちょっと遠そう、と思うかもしれませんが、実は東京からも約3時間ほどで行けてしまいます。新鮮な日本海の魚が豊富で、石見銀山など名所もある町。
こんにちは!キッチハイク編集部です。
魚の町、大田市には伝統漁法「一日漁」が根付いています。「漁師めし」として生まれた郷土料理「へか焼き」づくりを、特産の「のどぐろ」を使って体験できるオンラインイベントが先日開催されました。実はこちら、告知後すぐに満席となった注目のイベント。今回は、その様子をレポートします!
島根県大田市の高級魚「のどぐろ」が届く
オンラインイベントの前日に、箱が届きました。箱を開けてみると……こちら!冷凍のかわいいのどぐろ3尾。ラベルには「一日漁」の文字。
イベント当日、のどぐろを解凍してみると、赤くつやつや、まんまるの澄んだ目!これは新鮮な証し。
おいしい「へか焼き」を作るべく、同封されていた説明書に記載されていた「へか焼き」用の野菜、焼き豆腐などもしっかり準備。材料をみると、ご飯もお酒もすすみそうな予感がして (笑) 念のためそちらもちゃっかり準備しておきました。
旅館の料理長が教えてくれる郷土料理ワークショップ
待ちに待った、イベントがスタート。現地の中継からは、金子旅館の料理長金子さん、おおだ一日漁推進組合から一日漁の魚の加工・販売をなさっている岡富商店の岡田さんと、勝部商店の勝部さんがご登場。そして、お三方の背景に見えるのは、ライブ中継で映し出されている大田市の海景色!金子旅館のすぐ裏には海が広がっているそう。なんて雄大な景色でしょう!
さて、待ちに待った料理の時間。金子さんから「へか焼き」の作り方を教えていただきます。
「へか焼き」とは、いわば魚のすき焼きのようなもの。白菜、大根、茄子、長ネギ、えのきなど野菜をどんどん鍋に入れていきます。
鍋の中央はよく火が通るので、大根など火が通りづらい素材を入れるのがポイント。そして今回の主人公のどぐろとは、表面に煮崩しないように切り目を入れて鍋へ。
そして、具材が浸るくらいの昆布だし、みりん、醤油を入れます。だし7対みりん1対醤油1のバランス。私も金子旅館さんに続いてどんどん鍋へ、火が通るよう、アルミ箔を上にかぶせ20分ほど待ちます。
「へか焼き」の「へか」は農機具からとったもの?
煮込む間、ちょっとひと休み。「へか焼き」にについてのお話をしてくださいました。
まず、気になったのは、金子さんが使っている独特な鋳物の黒い鍋。大きくて平らでパエリア鍋のよう。実はこちらは、へか焼き専用だそう!農機具の先についているものが「へか」。これを鍋にしてたことから、「へか焼き」の名前がつきました。
今では持ってる人は少ないですが、岡富商店の岡田さん宅ではなんと80年も使っているへか鍋があるそう。郷土料理と共に、鍋も代々引き継がれているとは素敵です。
のどぐろは高級だから、おもてなしの時に使われる
ちなみに、大田市の人は「のどぐろは高級だから滅多にへか焼には入れないんだよ (笑)。」とのこと。普段は、カレイ、たこ、にぎす、など、その日に獲れた色々な魚を入れるそうです。ということは、今日は、特別な「へか焼き」なんですね!
それにしても「にぎす」は初めて耳にする魚かもしれません。キスに似てるから似キスでにぎす「つまりキスの偽ものなんだよ」と笑ってらっしゃいましたが、大田市では食卓に欠かせない日常的な魚なのだそう。これも食べてみたい!
地元では普段、のどぐろは塩焼きや煮付けが多く、お客さんがいらした時に、へか焼きでおもてなしをするのだそうです。なるほど。私も今度、友人が来た時にでも、「今日は、へか焼きを作ろう」なんて言ってみたいです。自分の故郷ではない郷土料理を作ってもてなすことができたら、ちょっとかっこいいかもしれません (笑)。まずは、この冬、自分の食卓にもへか焼きを取り入れたいと思います!
大田の漁師めし「へか焼き」をいただきます!
話を伺いながらも、もう良い香りがしてきてたまりません!
煮ること20分ほど、やっと出来上がり。皆さんと乾杯……でなく、いただきますの時間がきました!バッチリご飯も炊いてあります。
皆さんで「へか焼き、いただきます!」
参加者皆さんから「身がふわふわ!」「魚の出汁がきいて美味しい」「すき焼きよりこっちの方が好き」との声。
ん〜!すっかり、私もへか焼きの虜に。ご飯にも日本酒にも合うから困ります(笑)。
夢中で食べてると「最後の卵ご飯用に少し出汁を残してくださいね」のアナウンス、うっかり美味しくて全部平らげるとこでした。
朝に出漁して夕方には帰ってくる「一日漁」。だから鮮度抜群
はふはふいただきながら、勝部さん、岡田さんから「一日漁」の話を教えてもらいました。お二人が一緒に話される様子がずっと映っていて、仲良くてほほえましく感じちゃいまいした。
小さな船でその日に漁へ出て、その日に帰って、競りに出すから鮮度が良いのも特徴。一日漁をしている港は他にもあるけど、40隻も在籍してるのは全国でも大田市だけ!地形で港が小さいから大きな船向きではなく、小型船スタイルの船が確立しました。
岡田さんが家業を継いた昭和48年は船は60隻でしたが、現在も60隻。近年、漁師は少なくなってますが、30代の方から95歳の方まで!船が減ることなく続いてるのは、1日漁が良い魚が獲れ、夕方の5時には水揚げされ18時には、お風呂に入ったり、家族とご飯が食べれたり。働く環境も良いので、現在も減ることなく引き継がれています。
なんと、漁に出るツアーも商工会議所で計画中とのこと、こちらも楽しみ!
大田市の話を聞きながらも、気づけばへか焼きも完食!でも、ちゃんと煮汁は残しておきましたよ。
「へか焼き」の〆は、魚の出汁を卵とじに
ここで再び金子旅館さんからレクチャー。残った煮汁を沸騰させ、溶き卵を入れてご飯にのせます。私も続いて作ってみると……何杯でも食べれてしまう美味しさ!のどぐろの旨味も閉じ込めた丼、最高です。
四季を通してさまざまな魚を味わえる大田市
本日、初めて知った大田市と伝統漁法「一日漁」。オンラインイベントのおかげで、現地の人とここまで近い形で交流できること、そして人の温かさを感じました。大田市の一日漁という食文化から生まれた郷土料理の「へか焼き」を体験することで、自分の日常に新たな食卓メニューが一つ追加されました。
秋は、のどぐろや甘鯛、年を超えるとハタハタなどが獲れるそう。四季を通して楽しめる魚があることも知り、おいしい魚を食べに、皆さんに会いに伺いたくなってしまいました。
料理を教えていただいた金子旅館の金子さん、勝部商店の勝部さん、岡富商店の岡田さんありがとうございました!
のどぐろの他にも「あなご」と「にぎす」がおすすめ!
岡富商店さんとキッチハイクのコラボで、大田市の一日漁で獲れたのどぐろの「へか焼き」セットがオンラインで販売スタート!岡富商店の岡田さんおすすめの、「あなご」と「にぎす」もセットになっています。何と言っても、あなごは大田市の名物、「にぎす」は”食べたことのない人がほとんどだと思うので”、と初体験として食べてもらいたいという思いで選ばれた3種類の魚。ん〜!食べたいです!
大田市の郷土料理「へか焼き」を、ぜひご自宅でもお楽しみくださいね。
好評につき、のどぐろの「へか焼き」オンラインイベント追加開催決定!
来月1月23日 (土) 11:00開始で、追加開催が決定しました! 今回は地酒も一緒にお届けします。
【おすすめポイント】
・島根県大田市から、高級魚「のどぐろ (冷凍)」と、地酒「石見銀山」が届く
・岡富商店の岡田さんから一日漁について聞ける
・一宮酒造の浅野さんから日本酒造りのお話が聞ける