松江の全部が味わえる!松江の魅力がぎゅっと詰まった3時間♡

不昧公が残した豊かな文化をポップに楽しむ!

今回は、5月に開催されたキッチハイクと島根県松江市のコラボPop-Upをレポートします。島根県といえば、松江城や出雲大社、宍道湖など歴史的建造物や豊かな自然で有名ですが、日本酒・相撲・歌舞伎など数々の伝統的な文化がはじまった地とも言われています。

 

今回のPop-Upは、豊かな自然に育まれた松江市の食材で作った料理と、松江市の日本酒を楽しみました。COOKは、料理教室やレシピ開発など、幅広く食の分野で活躍する料理家のMiyukiさんです。

食材の豊かさを生かすために考えた料理とは?

今回のPop-Up のためにCOOKのMiyukiさんが考えたメニューがこちら。

“板ワカメ”や“あご野焼き”は聞いたことのない人も多いかもしれませんが、どちらも松江市の名産。板ワカメは、文字通り板状になったワカメで、海でとれたワカメを水洗いして乾燥させたもの。

“あご”とはトビウオのことで、山陰地方では「あごが落ちるほどうまい」ことから「あご」と呼ばれているそうです。この“あご”をすり身にして山陰地方の地酒を混ぜて焼き上げたものが、あご野焼きです。

Miyukiさんに、今回のメニューのポイントを聞きました。
「どの食材も素材そのものが良いので、手を加えすぎると素材の良さが消えてしまうと思い、できるだけシンプルな調理方法にしました。

あご野焼きは他の食材と合わせて使うと良さが消えるので、地元の人の食べ方そのままにワサビ醤油で出しました。

イノシシ肉は、東京では普段食べない食材なので、柔らかく、臭みを消して食べやすくする下処理に時間をかけています。

宍道湖名産のしじみを使った炊き込みご飯は、しじみ以外の出汁をほとんど使わず、しじみのうまみで仕上げました。

板わかめはシンプルにわかめスープにして、ブラックペッパーを効かせています。
今回は、松江の食材が個性豊かで様々な美味しさがあるからこそ、いろんな料理に使えることを表現したかったんです。ジャンルを決めず、和食・エスニック・中華風など、多国籍な国の料理にすることで楽しく、松江の食材の多彩さを感じてもらえればと思っています」


プレート下から左回りに、あご野焼き・しじみの炊き込みご飯・浜ぼうふうの酢味噌和え。右が、板わかめのスープ。炊き込みご飯はもち米と白米を混ぜてあるので、もちもちの食感も楽しめる

岩牡蠣の蒸し焼きと、イノシシの角煮まん。「岩牡蠣が本当に大きくて殻がなかなか開かなくて……、今まで扱った牡蠣のなかで一番大変でした(笑)」とMiyukiさん

松平不昧公が残した、現代の私たちも楽しめる“偉大な文化”

今回は満席! 夜が更けてきたころ、美味しいもの好きの参加者が集まりはじめました。このPop-Upでは、松江市から日本酒『不昧公』が参加者全員に振る舞われます。Miyukiさんの料理が日本酒によく合っていて、初めて会った人同士を繋げていきます。

“松江のことならなんでも知っている”松江市観光文化課の髙田俊哉さんも交えて、料理とお酒がすすみます。この日は、島根県に行ったことのある人が半数程度でしたが、島根県がどこにあるか分からないというツワモノも…! 鳥取県に隣接し宍道湖のある松江エリア、出雲大社が有名で日本海を望む景勝地のある出雲エリアなど、位置関係を確認しながら、地元の人の暮らしぶりや、海も山もある豊かな自然環境の話で盛り上がります。

会も終盤のころ、髙田さんから松江藩中興の祖とされる松平治郷(1751~1818年の日本茶道史上に残る功績について、興味深い話が紹介されました。

不昧公(ふまいこう)の名で知られている松江松平藩7代藩主の松平治郷(1751~1818年)。この不昧公とは、隠居後に名乗った号“不昧”からきています。2018年は不昧公の没後200年にあたり、『松平不昧展』が開かれるほど、現代も茶道界の偉人として知られています。
十代のころから茶の湯を熱心に学んでいた不昧公は、形式や道具にこだわる当時の茶の湯を批判し、わびの精神を説いた独自の茶道観を確立しました。これが今も『不昧流』として知られている茶道の流派のはじまりです。

ただ、茶の湯が広く一般に普及しすぎて町人が働かなくなるという事態が起き(江戸時代の町人はとてもチャーミングですね)、不昧公が茶の湯を禁止するということがありました。それでも内緒でお茶室を作った家も多かったそうで、今も松江には“隠れ茶室”が残っている家があるそうです。隠れ茶室は、現代ではカフェとして解放している場所もあるそうなので、松江の新しい楽しみ方として訪れてみるのも一案です。

「松江の良いところはたくさんありますが、その一つは本格的なお茶が暮らしに根付いていることです。松江の人たちは、普段コーヒーや紅茶を飲む感覚で抹茶を飲みます。抹茶のあてに、あご野焼きや漬物を食べるんですよ。
生活雑誌『暮しの手帖』の創刊者である花森安治は旧制松江高等学校の出身で、奥さんは松江出身ですが、暮しの手帖のなかで、“松江は日常茶飯のようにお茶がある”と書いています。日常的にお茶を嗜む習慣があるのは、松江が誇る文化の一つです」と髙田さん。

普段から、コーヒー感覚で抹茶をたてることや、茶菓子の代わりに、自分たちが食べたばかりのあご野焼きを食べると知って、参加者のみなさんはびっくり! 東京とは違うテンポで流れているような松江の時間を想像して、会場は穏やかな雰囲気に包まれました。

ポップにカラフルに。気軽にお抹茶を楽しみながらデザートタイム

デザートは、抹茶と豆腐のティラミスと、そば粉のフィナンシェ。松江市からは、和菓子と抹茶がプレゼントされました。ティラミスは、生クリームではなく豆腐とマスカルポーネチーズを使っているので重たくなく、食後にぴったりの爽やかな味。

抹茶と豆腐のティラミス、そば粉のフィナンシェと、松江市からプレゼントされた和菓子

ここで髙田さんから、コスメボックスのようなカラフルな茶器と茶筅のセット『Matsue Chatté』が参加者に配られました。最後は、それぞれお抹茶を点てて、デザートや和菓子と一緒にお茶を楽しみます。初めてお抹茶を点てるという参加者も多く、髙田さんから「手首のスナップをきかせて、素早く茶の表面を縦にかき混ぜてください」とアドバイスを受けていました。

お抹茶の魅力を日常に取り入れ、ラテも楽しめるように開発された『Matsue Chatté』。プラスチック製の茶筅で洗えるのが特長。茶碗は、松江市にある窯元でつくられたもの

日本酒の酔いを、抹茶の苦味が少し醒ましてくれて、みなさん気持ちよく帰路につきました。参加者からは、松江市の食の豊かさに気がついたこと、不昧公がもたらした茶を飲む習慣が今も息づいているという茶文化の側面から松江を知ることができたことなど、多くの発見があった夜だったという声が聞かれました。
またCOOKのMiyukiさんは、「こんなに美味しい食材があるなんて、今まで松江に行っていないことを後悔しました! イノシシ肉以外にも様々なジビエがあって、髙田さんから穴熊も食べられると聞いたんです。これはもう行くしかないと思っています」と話してくれました。

お茶といえば、京都や金沢がよく知られていますが、実は松江市にはお茶の一つの流派をつくった不昧公という偉大なお殿様がいました。200年以上前から楽しんでいたお茶の文化が、今も息づいている暮らしぶりを感じられる松江。次の旅行は、こんなお茶文化の視点を取り入れて、観光名所をめぐるだけではない旅へお出かけしてみてはいかがでしょうか。

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