島根が生んだ神話と日本酒、松江で育まれた”茶の湯文化”を、神田で体験✨

日本酒が繋げる楽しいご縁。

今回は、5月に開催されたキッチハイクと島根県松江市のコラボレーションPop-Upをレポートします。島根県は、『古事記』の出雲神話でヤマタノオロチを退治した『ヤシオリノ酒』や、713年から編纂がはじまったと言われる『出雲国風土記』に酒の記述が出てくるなど、日本酒発祥の地として知られています。
今回のPop-Upでは、松江市からHIKERの皆さんに、松江市でつくられた日本酒『不昧公』『國暉』『李白』などが振舞われました。

▼前回の模様

個性豊かな参加者と、松江の日本酒で乾杯!

今回のCOOKは、発酵料理家のHarukaさん。日本酒に合う料理の提案を中心に、レシピや商品の開発、料理教室の講師など幅広く活躍されています。

今までに50軒以上の酒蔵を巡ったという筋金入りの日本酒好きであるHarukaさんが、今回のPop-Upのために考えた料理がこちら。

今回は、松江市から板ワカメ・岩牡蠣・宍道湖名産のしじみ・そば粉・あご野焼き・イノシシ肉・抹茶と、松江の食の多彩さが感じられる食材が提供され、それをHarukaさんがアレンジ料理されています。


「板ワカメという食材は聞き慣れないかもしれませんが、ワカメを板状に乾燥させたもので、豊かな海の香りが特徴です。パクチーのトッピングに板ワカメを使って、海の香りいっぱいのサラダにしました。日本酒に合うように、ナンプラーではなく魚醤を使って、塩麹とレモンを混ぜたドレッシングをかけています。


ガレットロールは蕎麦粉を使った生春巻きで、味付けは白味噌と白醤油のソースです。岩牡蠣のオイル漬けは、パクスコというパクチーのタバスコをかけて食べてください」とHarukaさん。


左下:板ワカメ入りパクチーサラダ 上:玄丹蕎麦粉ガレット 右下:松江岩牡蠣のガーリックオイル漬け

満席の会場は、エスニック料理だけれど日本酒に合うというHarukaさんの説明を聞いて食べる前から大盛り上がり! みんなで乾杯をして、さっそくいただきます!
蕎麦粉ガレットロールに使われている白醤油が普通の醤油よりも甘くて、それがとっても日本酒に合う。板ワカメの塩味が本当に海の香りそのままで、これもまた日本酒に合っていて……甘いとしょっぱいを繰り返して、みんなお酒が止まりません。岩牡蠣は、その大きさにびっくり! 肉厚な歯ごたえと、ジューシーな味わいがたまりません。

次は、Harukaさんが初めて使ったという、あご野焼きと松江産イノシシ肉の料理。
「あご野焼きは煮物にしても美味しかったのですが、揚げることで旨味が増すので、三つ葉のような香りのする浜ぼうふうと一緒に天ぷらにしました。しじみの酒蒸しは、日本酒と合う塩麹で味付けをしています。イノシシ肉は、ジビエらしさを失わない程度に下処理をしてからシチューにしています」


左下:しじみと春キャベツの酒蒸し 上:イノシシ肉の赤味噌シチュー 右下:あご野焼きの天ぷら

“あご”とはトビウオのことで、山陰地方では「あごが落ちるほどうまい」ことから「あご」と呼ばれているそうです。この、あごのすり身に酒を混ぜて焼き上げたものが、あご野焼き。固めの触感が特徴のあご野焼きですが、揚げることで食感がふっくらして美味しい! あさりの出汁が効いた酒蒸しは、ぷんと香る磯の味が日本酒にぴったり。シチューは赤味噌がベースの濃厚な味で、これも日本酒によく合っていてお酒が止まりません!

今回のHIKERの中には、海外赴任から一時帰国して日本酒を楽しみにきたという方や、松江から東京に来たばかりの新社会人で、松江の料理を食べたくて来た人、地方自治体勤務で、町おこしの参考に来たという人までユニークな参加者ばかり。お酒好きの輪が広がって、会場はとても明るい雰囲気になってきました。

酒と相撲は島根発祥だった! 様々なトリビアが飛び出す知的好奇心が刺激されたPop-Up

もともと今回のPop-Upは、大名茶人として名高い島根県松江七代藩主の松平不昧(ふまい)公(1751~1818年)没後200年という節目の年に、松江市ならではの茶の湯の世界や豊かな食文化を発信するために開催されたものです。ここで、松江市観光文化課の髙田俊哉さんから数々の伝統文化発祥の地である松江市の魅力について、興味深いお話がありました。

「島根県は松江城や出雲大社、宍道湖などの観光スポットが有名ですが、日本酒・相撲・歌舞伎など日本の伝統文化発祥の地としても知られています。
初めて日本の文献に酒の記述が出てくるのは、日本最古の歴史書『古事記』で、スサノオノミコトがヤマタノオロチにお酒を飲ませて退治したという神話です。この舞台が島根県の雲南市なんです」
今まで飲んできた日本酒が島根県の発祥と知って、みんなびっくり。スサノオノミコトが使ったのが『八塩折(やしおり)の酒』というもので、島根県の酒蔵では同じ名前の日本酒が作られているそうです。

「また、相撲も島根県が発祥の地と言われています。古事記にある『国譲り神話』に登場するタケミナカタとタケミカヅチが行った力くらべは、今の出雲市にある稲佐の浜で行ったとされていて、これが日本の文献に出てくる初めての相撲と言われています。
こんな背景から不昧公も大の相撲好きだったそうで、史上最強と言われた『雷電』というお相撲さんは松江藩お抱え力士で、不昧公のお気に入りでした。江戸時代の全盛期には、番付の3分の1が『雲州力士』と言われる松江藩力士だったそうで、雲州力士がいないと相撲界が成り立たないと言われていたそうです」

この日のHIKERさんは、半分くらいが島根県を訪れたことがあったのですが、観光やグルメスポットめぐり以外の視点で松江の文化の豊かさを知って、改めて島根県への興味が湧いてきた様子。今も神話が息づく場所が身近に点在している環境は、どんな暮らしぶりなのだろう……? 松江に思いを馳せた夜でした。

松江ならではの“出雲四丁締め”とは?

デザートは抹茶のティラミスと、松江市からプレゼントされた和菓子・抹茶のセット。抹茶は、自分たちで点てて楽しみます。
抹茶のティラミスは、抹茶の苦味がしっかりときいていて、お酒で酔った頭をスッキリさせてくれます。抹茶を点てたことの無い人が多く、なかなか抹茶が泡立たずに苦労しましたが、みんなでワイワイと経験をすることが楽しい! 豊かなスイーツの時間を過ごしました。

左:抹茶のティラミス 右:和菓子と抹茶

最後に髙田さんから、島根県独特の『出雲四丁締め』で会を終える提案がありました。一般的に、神社参拝の作法は二礼二拍手一礼ですが、出雲大社は二礼“四拍手”一礼だそうです。日本全国共通の作法だと思っていた参拝方法が、出雲大社は違うと知ってびっくり! 大盛りあがりで四丁締めをして、Pop-Upが終わりました。

今回のPop-Upは、松江市からHIKERの皆さんにすてきなプレゼントがありました。縁結びで有名な出雲大社で願掛けされた『縁結びの5円玉』や、ハート形の実をつける風船葛の種、平安時代から三名泉として知られる玉造温泉のコスメセット引換チケットなど、今回のPop-Upの余韻を楽しめる粋なプレゼント。

松江の美味しい日本酒効果もあって、はじめは知らない人同士だったHIKERの皆さんも、終わるころにはとっても仲良くなっていました。お酒や料理の感想を言い合ったり、島根出身者や島根県に行ったことがある人に、おすすめスポットを聞いたり……。美味しいもので繋がったご縁が、料理を食べ終わった後も居心地のいい空間を作っていました。

最後に、今回のCOOKHarukaさんに感想を聞きました。
今回は、和気藹々とした雰囲気で皆さんに楽しんでいただき、嬉しかったです。日本酒を酌み交わすと、初めて同士の方でもすぐに打ち解けられますよね。提供していただいた松江の食材が本当に美味しいので、手を加えすぎないように気をつけて、酸味と甘み、オイリーとさっぱり、冷たさと温かさなど全体のバランスに気をつけて料理しました。
皆さん、たくさん食べてくれて嬉しかったです。食べることが好きな人たちが集まると、とても明るい雰囲気になって、本当に楽しくて、良い経験をさせていただきました!」

▼松江市ブランドページ

▼次のコラボレーションはこちら!