海外好き、料理好きの「ママスタ」編集部とKitchHikeがコラボして始まったこちらのコーナー。日本に住んでいる外国人COOKのお宅に訪問し、料理を作ってもらいながら母国の文化や日本で感じることなどざっくばらんにおしゃべりするというなんとも美味しい企画。世界の家庭料理や彼らのライフスタイルをお届けしていきます!
今回は、フィリピンのミンドロ島出身のオリビアさんにインタビュー!
学校を卒業後、来日し、フィリピンパブで働いている時に今の旦那様と出会い、現在では男の子と女の子の二児のママをしながら日本に暮らして14年だというオリビアさん。
今日は、フィリピンのおもてなし料理であり、日本人にあまり知られていないフィリピン料理を教えてもらいました!
フィリピンパブは日本に沢山あるのに、有名なフィリピン料理って何なのか知らない……
日本には沢山フィリピンの方が暮らしていますし、格安英語留学なども多いので身近に感じていますが、フィリピン料理屋さんはあまり見かけない気がします。
– オリビアさん (以下、敬称略)
そうだね~。レストランはあまりなくて、バーみたいなところで少し料理が食べられるぐらいかなぁ。今日はフィリピンで人が集まるときに作ったりするカレカレ (kare-kare) を紹介するよ!家庭料理だからあまりレストランのメニューにはないけど、マニラのような都会のレストランなら食べることができるかも。
写真で見ましたけど、カレカレってフィリピン版カレーみたいな感じですか? (笑)。
– オリビア
あはは! (笑)。違うよ~確かに色はカレーみたいな色だけど、どちらかというとシチューに近いかな!カレカレにはバナナの花を使うんだよ!これは日本人にはかなり珍しいと思うよ~!
バナナの花??バナナの木は見たことがありますけど、花は分かりません!
– オリビア
作りながら見せてあげるけど、バナナになる前は、大きな実みたいで皮に包まれていて、その中に小さなバナナがたくさん入っているの。そのバナナになる前の状態のものをカレカレの中にいれて作るのよ!
牛テールにハチノス、バナナの花を使ったカレカレとは!?
まずは、牛テール(しっぽ)とハチノス(牛の第二胃)を沢山のお湯と少量の塩を入れて煮込み、スープ(出汁)をとります。スープができたら、牛テールとハチノスは一度炒めるため、ザルで取り分けておきます。スープは鍋に戻しておきます。
今回具となる野菜はこちら!たまねぎ、いんげん、チンゲン菜、茄子、バナナの実です!いんげんは端を切り落として茹で、チンゲン菜もさっと茹でます。茄子は縦に四等分にして少し柔らかくなるまで茹でたら取り分けておきます。
そしてついにバナナの花を解体!まずは周りの固い皮をはがしていきます。

– オリビア
この小さな長細いやつが、バナナになるのよ!皮をむくと、どんどん小さなバナナが出てくるわ!周りは固いから何枚か皮を向いて使うのよ。
ある程度皮を向いたら、ざっくりと半分に切り、湯通しします。
右写真が、バナナになる前のバナナ赤ちゃん!
火にかけるとすぐに黒くなっていきました。
柔らかくなるまで少し茹で、取り分けておきます。
次に、たまねぎはスライスし、にんにく1片分のスライスと共にフライパンで炒めます。先ほどザルにあげておいた牛テールとハチノスとローレルを加えて炒めて鍋に戻し、3分ほど煮込みます。
味付けはどうするの?と聞くと、市販のカレカレの素が便利!ということでこちらを水に溶いたものをいれていきます。日本のシチューやカレールーのような感じで、現地では皆さんこれを使って作るそうです。

このカレカレの素は、ピーナッツや米のとぎ汁などで作られているそう。どんな味がするんでしょう……。
そしてナンプラーも少し入れて味を調整し、最後に下茹でした野菜(茄子、バナナ、いんげん、チンゲン菜)を入れて強火で数分煮込んで完成です!!野菜はほとんど煮込まず、かなり食感が残った形で出来上がりだそうです。
切り口が綺麗なフィリピン風ミートローフには小業アリ!
次は、エンブティード(Embutido)というフィリピン風ミートローフを教えてもらいます!こちらもおもてなしなどで作る料理だそう。
まず、豚ひき肉、にんじんのみじん切り、自家製ピクルス、塩胡椒、砂糖をボウルに入れてよく混ぜておきます。それに、レーズン、パイナップル(缶詰)を細切りにし、水分を切って混ぜます。さらにパン粉と生卵をいれてハンバーグを作るような感じで手でよく混ぜます。
お肉のタネができたら、アルミホイルに少し油を敷いてお肉をのせ、さらにカットしたウインナーとゆで卵、チーズをのせて長細く巻いていきます。巻き寿司みたい!
巻くときにウインナーとゆで卵を並べることで切った時の断面が綺麗にできるんだそうです!
全部で5本分もできちゃいました!これを20分ほど蒸して完成です。
フィリピン人の友達もつられて来ちゃうほど人気のスイーツ!
そこで「ピンポーン!」とお客様が。あら?どなたかしら??
– オリビア
フィリピン人はこのブコ・パンダンが大好きなの。いつもこれを作るとすぐなくなっちゃうぐらい!さっき友達に今日ブコ・パンダン作るよって電話したら、食べに行く!!と言ってたから来たんだわ (笑)。日本では食べられないから、作るとみんな大喜びして食べにくるの (笑)。

冷やして食べるのが美味しいということで、あらかじめ作っておいてくれたオリビアさん。
ブコ・パンダンは、鮮やかな緑色の角ゼリーのようなものと、うどんのような長細くて白いものがはいっています。まず、緑のゼリーは“Buco Pandan”というココナツ風味がする着色料と、“Pandan Flavor”という香料と、お水、砂糖、寒天でゼリーを作ります。
白いうどんのようなものは、実はココナッツ!生のココナッツをピーラーでスライスして作ります。
混ぜて、フルーツのシロップ漬けも入れて容器に入れて冷やして出来上がり!見た目が不思議なのでどんな味がするのが全く想像ができません~!楽しみです!!
全部できたところでいっただっきま~す!!
まずはメインディッシュのカレカレから!
フィリピン版シチューと言っても、日本のようなドロッとした感じはなく、かなりサラサラしていて、具がメインのお料理だなと思いました。
初めて食べるバナナの花ですが、火を通したことで真っ黒、そしてフォークでも切れる柔らかさに。食感は少しグモッとしていて、味はあまりありません (笑)。いんげんも少ししか湯通ししてないのでかなり固め、チンゲン菜もシャキッとしています。
「カレカレはエビのペースト(Bagoong)につけて食べるのが美味しいのよ!」とのこと。つけてみると、かなり海老の味がします!!もはやこの海老ペーストがかなり美味しい!!ご飯にのせて食べれちゃうような感じです!
こちらがその海老ペーストです。
牛テールとハチノスはすごく柔らかく煮込まれていて美味しい!特にハチノスはふにゃっとして食感もよく、スープと一緒に食べると美味しかったです。
レーズンでひと味違う!フィリピンミートローフが美味しすぎる!
見るからに美味しそうなフィリピン版ミートローフ、エンブティード!
もう作っているときから、これ、早く食べたかったんです!!
食べてみると、ミートローフの中では今まで食べた中で一番美味しい!!
レーズンとパイナップルがかなり味を際立たせていて、通常のミートローフとは全然違う味なんです!しかも、ウインナーもゆで卵も入ってまさにスペシャルご馳走ロール!!ケチャップをつけて食べると美味しいと言われましたが、これだけで味も抜群に良いのでそのままぱくぱく食べられちゃいます!
お友達も食べに飛んできちゃうほど大人気のブコ・パンダン!
食後には、見た目はかなりアジアチックで謎なデザート……「ブコ・パンダン」。
きっと現地で見つけたら警戒して食べないやつだと思います (笑)。が、いざ実食!
香りはすごくココナッツの香りがします!ゼリーは特に変わりなく、緑が綺麗な普通のゼリーって感じです。
そして長細いココナッツですが、かなりのどごしのよい薄いうどんのような感じでチュルチュルとしています!汁もココナッツ感が前面に押し出されかなり甘い!家でお母さんが作ってくれるホームメイドおやつ感がありました。
身近に感じていたフィリピンでしたが、フィリピン料理は日本で全然食べたことがなかったのでとても楽しかったです!海外旅行した気分になりました♪オリビアさん、ごちそうさまでした!
続いて、フィリピンと日本の出産や結婚観の違い、オリビアさんの今後の夢について語ってもらいます。
少数民族は未だに読み書きができず非近代的な生活を送っている
フィリピン感のある素敵なお部屋でした!
オリビアさんが育ったミンドロ島というのはどのようなところでしたか?
– オリビア
海が綺麗なところです。私は都会にいましたけど、山奥には原住民がいて、村には電気・水道、ガス、交通、医療、教育といった制度がありません。本当に少し前までは男性も女性も下着だけで裸で暮らし、自給自足で非近代的な生活を送っていると聞きました。
フィリピンに何度も会いに来てくれた日本人の方と結婚!
日本人の旦那さまとはどのように出会われたのですか?
– オリビア
卒業して日本に来てフィリピンパプで働いていた時に、3か月ぐらい通ってくれていたお客さんだったの。それで、フィリピンに帰ることになったら、「好きだよ好きだよ結婚しよう!」ってアプローチされて。嘘だと思ったから、「本当に好きだったらフィリピンに迎えに来て!」って言って帰国したの。
そうしたら、本当にフィリピンに会いに来て、短い休みが取れる度に10回ぐらい来てくれたかなぁ。だから、本気で言ってくれてるんだと思ったの。それで結婚してすぐ赤ちゃんができて、フィリピンで出産しました。
日本はお手伝いさんを雇う文化がないからお母さんは大変
日本で産もうと思わなかったのはなぜですか?
– オリビア
日本は、お手伝いさんとかベビーシッターの文化があまりないでしょう。フィリピンだと、お手伝いさんがいるのは一般家庭では当たり前だから、家事はやらないですむし、赤ちゃんの面倒もみてもらえるからお母さんはすごく楽することができるんです。だから赤ちゃんのうちは1年間フィリピンで育てました。日本では子育ても家事も全部ママがやらないといけないから本当に大変だと思う。
フィリピンは、離婚という制度がないから結婚する人が少ない!?
フィリピンと日本で結婚観の違いはありますか?
– オリビア
フィリピンは、離婚という制度がないんですよ。法律がないから、離婚したくてもできないんです。結婚したら、別居してても夫婦のままだから、結婚する人は少ないんです。日本みたいに離婚届を出せば別れられるというわけじゃないんです。どうしても離婚したかったら、アメリカとか海外に行って離婚する人はいるみたいです。
日本の女の子みたいに、30歳までに結婚したい!というような認識も持っていないです。
フィリピンの結婚式では豚の丸焼きを食べるのが伝統的!
離婚の制度がないんですか!?初めて知りました。結婚式はどんな感じですか?
– オリビア
日本とあまり変わらないので、だいたいは教会で式をして、パーティーをします。日本みたいな披露宴ではなくて、ビュッフェスタイルです。私は家で結婚式をしました!日本の披露宴で出される高さのあるケーキは偽物でしょう?フィリピンはすごく立派な3段のウエディングケーキも全て食べられるケーキで、ご馳走のケータリングをして家に60人呼びました!
あと、フィリピンの結婚式は、豚の丸焼きを食べます!もちろん、頭がついたままの豚の丸焼きをお祝いごとではよく食べるんです。
日本の帝王切開はお腹を切られている感覚があってすごく怖かった

2人目のお子さんは日本で出産されたということですが、フィリピンで産んだ時と違いはありましたか?
– オリビア
全然違いました!私は二人とも帝王切開だったんですけど、フィリピンで産むときは、産まれる24時間前から個室で母と一緒にリラックスしながら、全身麻酔で眠っている間に産まれていました。
日本では、高いから相部屋だったし、産まれる8時間ぐらい前になってようやく陣痛室、分娩室と移動して不安でした。日本は部分麻酔だから、お腹を切られている感覚がすごく分かるんですよ!!すごく怖かった!最初に麻酔を打って、お医者さんに「冷たいとか触られているとか何か感じますか?」と言われて、「全部分かるよ!全然効いてないからもっと麻酔を打って!」とお願いしたの。それでもやっぱりお腹を切られているのが分かったし、意識があるから周りで看護婦さん達がバタバタしているのも見えていてすごく不安で、日本でのお産は本当に怖かった!
それは全然違う出産でしたね。赤ちゃんの間に子育ての違いは感じましたか?
– オリビア
日本は、母乳が出ないとおっぱいマッサージをぎゅうぎゅうされてすごく痛くて、母乳を出すことに対して先生が厳しかった。
フィリピンの病院では、お客さん(患者)がボスだから、そんなことはしないです。おっぱいがでないならミルクをあげましょうと言ってくれます。
日本はお腹を縫った傷痕は全然残らなくて技術を感じました。
子供の教育面で違いはありますか?
– オリビア
フィリピンでは、小学校から高校までは試験に受からないと上のクラスにあがれません。つまり留年することになるから、12歳でも小学1年生ということもありえます。
女性は成人後、どのようなライフスタイルで過ごされるんですか?
– オリビア
フィリピンには女性の仕事はあまりありません。あっても、25歳ぐらいまでしか働けない。だから女の人は卒業したら、日本やアメリカ、ドバイとか海外に行って働くんですよ。
フィリピンと日本で恋愛観の違いは感じましたか?
– オリビア
フィリピン人の男の人は外でもどこでも甘えてくるよ~!それから、女性の親にアピールするんですよ。プレゼントをしたり、手伝ったり、親に認めてもらえないと結婚できないので。日本男性は二人でいる時は甘えてくるなと思いました。
今後の夢はフィリピンにメイド喫茶を開くこと!

これからはどのような活動をされる予定ですか?
– オリビア
私、色々なことに興味があって、やりたいと思った仕事を全部達成してきたんです。旦那には最初わたしには出来ないよ、と言われてきたけど、勉強させて!と頼んで運転免許証を取ってドライバーの仕事もできるようになりました。それから子供英語教室の先生にもなれました。今の夢は、フィリピンにメイド喫茶を開くことなんです!フィリピンでは今オタクが沢山いるんですよ。だから、子供が高校生ぐらいになったらフィリピンに戻ってメイド喫茶をオープンさせて現地のスタッフにオムライスの作り方とか教えて、経営がうまくいきそうだったらまた日本に戻ってこようと思っているんです!
わぁ~!フィリピンにそんな需要があったんですね!努力家のオリビアさんならきっと達成できると思います。応援しています。色々なお話を聞かせていただいてありがとうございました!
Information
オリビアさんのフィリピン料理を食べに行こう♪
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