YADOKARIが始まったきっかけって?世界中の小さな住まい方に見る、暮らしを豊かにする方法 | インタビュー第8弾[前編]

皆さま、こんにちは。KitchHike編集部ライターのスズキです。

さて今回は恒例のインタビュー企画、第8弾!日本中でファン急増中のYADOKARIのおふたり (さわだいっせいさん、ウエスギセイタさん) にお話を伺いました。

yadokariとは?  未来住まい方会議http://yadokari.net/で世界の様々な暮らし方を発信し、「住」の視点から新たなライフスタイルを提案。空き家・空地の再利用支援、まちづくり地域活性化支援等も行う。数々のメディアで取り上げられている。現在ライター50人、サポーター2000人で活動中。
YADOKARI (左: さわだ いっせいさん 右:ウエスギセイタさん)
未来住まい方会議 (http://yadokari.net/)で世界の様々な暮らし方を発信し、「住」の視点から新たなライフスタイルを提案。空き家・空地の再利用支援、まちづくり地域活性化支援等も行う。数々のメディアで取り上げられている。現在ライター50人、サポーター2,000人で活動中。

「住まい」から始まる、いつもとはちょっと違う今回のインタビューですが。元々web業界でバリバリに働かれていたおふたりの起業のきっかけとは?理想の住まいや、家族円満の秘訣は食卓?!などなど、「住」で世の中を豊かにしようというYADOKARIさん、「食」で世界をつなげるKitchHikeと話は尽きませんでした。

またしても図々しく手料理をお願いしてしまいました。鍋をいただきながらインタビュースタートです!

YADOKARIのはじまり

本日は宜しくお願いします!早速ですがおふたりの起業のきっかけは……?

– ウエスギセイタさん (以下、敬略)
僕たちは同じweb制作会社で働いていた先輩後輩でした。お互いにずっとweb業界畑でしたね。僕はそもそも建築には興味があって、働きながら中野の建築系の専門学校に一時期、通っていました。

ある時、さわださんと「アメリカで貨物用のコンテナが余っているのが社会問題になっている」っていう話をしていて。

– さわだいっせいさん (以下、敬略)
そのコンテナは飛行機や船、トラックなどの交通インフラに乗せて移動できる世界規格だから、それを家にしたら世界中を移動する家=モバイルハウスができるんじゃないかというアイデアが生まれて建築系のコンペに応募しました。

師走にぴったりですね!
今晩の食卓は、鶏団子と豚肉と白菜の鍋!モバイルハウスならぬ、モバイルコンロです。

– ウエスギ
コンテナをリノベしてモバイルハウスを作ろう、空き家やスモールハウスをつないでネットワークを作ろうという提案を出しました。そのコンペが審査員が東京R不動産の馬場さんをはじめ建築系の凄い方々で、300名以上の応募があったんですけど、入選してファイナリスト6組に残りました。周りは「○○不動産」「○○都市開発事業部」「○○建築設計事務所」とか大手が集まる中、僕らは当時はwebデザイナーとwebプランナーで、皆から「お前らは何者なんだ?」と聞かれて (笑)。

「住まい手側からの『こういう暮らしがあったらいいな』というアイデアを持ってて、それで参加しました」と。このコンペで素人の住まい方の提案でも、きちんと発信すれば見てくれる人がいるということが分かって、YADOKARIがきちんと始まるきっかけになりましたね。

この時に「コンテナハウス」を調べたら世界にはめちゃくちゃカッコいいスモールハウスがいっぱいあって、世界には小さい住まい方をしている若い人が沢山いることを知ったんですよね。

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懐かしい話をして当時を思い出すウエスギさん。鍋を囲みながらお話を聞くと自然と笑顔になっちゃいますね!

– さわだ
大量生産・大量消費社会に疑問を感じた先進国のミレニアム世代を中心に、小さな住まい方を暮らしに取り入れる動きが広がっていて。例えばアメリカだとリーマンショック、日本だと東日本大震災をきっかけに暮らしを見つめ直す人が増えました。

– ウエスギ
皆、カウンターカルチャー的な感じで、小さな暮らしをするムーブメントが世界で起こってる。日本でも東日本大震災をきっかけに今までの暮らしや住まい方に疑問を持ち始めている人たちが増えてきました。そんな中で、「暮らしを再編集する」ためのツールとしてスモールハウスに着目し、世界中のそういう事例をまずwebで発信していこうと。

それで1年間365日毎日交代で記事を書きました。それが結構効果的でした。お互い夜12時ぐらいまで仕事して、そこから書き始めて朝の3時ぐらいに、アップするっていうのを1年間やったんですよ。流石にハードワークでしたけどワクワクしながら更新していたのを覚えています。反応もどんどん増えてきて、同じようなこと考えてる人が沢山いるんだなと実感しました。

– さわだ
Facebookで「いいね」ボタンを押してもらえるのが嬉しくて、いいねしてくれた人全員のプロフィールをチェックしていました (笑)。ページのいいねが2万を越すあたりまですべてに目を通してましたよ。「今日はあの著名人がいいねしてくれた!」って (笑)。

お仕事しながら365日記事を書き続けるとは……凄いですね。反響があったのはどんな記事でしたか?

– ウエスギ
スウェーデンの2日間で建てられる家 (!後編で詳しく登場します) とかツリーハウスの記事ですね。
「実際に建てたい」「買いたい」「代理店ですか?」という問い合わせもありますね。現在は記事はライターが総勢50人、編集部が6人で書いています。ライターは半分ぐらい海外在住の方で、本当にみんな優秀で最近は海外での現地取材に行ってもらっています。

いろんな方が共感されて、活動しているんですね。

 

「住まい」の価値観が変わるきっかけ

ところでおふたりはどんな家に住んでいらっしゃるんですか?

– さわだ
僕は姫路から18歳で上京して、デザインをやり始めてずっと都内に住んでました。都心の所謂“良いマンション”にも住んでいました。とにかくステータス思考で、お金持ちになりたかったんです (笑)。でも東日本大震災はこれまでの価値観を大きく変えるきっかけになりました。

津波で家が一瞬で流されていく映像を観ていると、長期ローンを組んで家を建てること、家のために働き続けることに疑問が沸きました。家族との時間や趣味の時間もなく、住宅費を払うために深夜までがむしゃらに働く。それは果たして幸せなのかと。それよりも住宅費をできるだけ少なく抑えて、他のことにお金や時間を使い、日々の充実度を上げていくことの方が大切だと思いました。

それから「暮らしを自分の手で作る」という手応えが欲しくなり、家族で逗子の築50年の古い平屋に引っ越しました。庭作りをしたり、DIYで家に手を入れていくことを家族で楽しんでいます。引っ越して3年経ちますが、生まれて初めて契約更新をしましたよ (笑)。

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鍋奉行のさわださん。小さな部屋に小さなコンロがよく似合います。

なぜ逗子に決められたんですか?

– さわだ
生まれ育った姫路市の実家の裏が海なので、海のそばが落ち着くんですよね。マリンスポーツなどをするわけではないのですが、町になんとなく潮の香りが漂っていて、休日に散歩に行ける海があるというだけでいい。結婚して子供も出来て、子育ての環境としてもも良いですしね。

– ウエスギ
僕は大学で長野から上京して杉並区や大田区に初めは住んでいて、今は家族3人で二子玉付近に住んでいます。家は60平米から5畳と4畳半と2畳半のキッチンの一人暮らし用マンション28平米に引っ越しました。

家族3人で約半分のところに引っ越すとは、大きな決断ですねぇ。

– ウエスギ
将来的にスモールハウスを作って住もうと思っていて大体30平米以下を考えているので、身を持って実験中です。会話は喧嘩も含めて (笑)。3倍に増えましたね。食事以外でも食卓も囲む時間が増えました。家賃は半分、電気代も60%カットだし。コストも大幅に削減できていますね。

震災前はお金とか仕事が最優先でした。田舎から出てきたので、ビジネスマンとして達成しないとダメだなというのがあって、ある程度いい年収稼いで、いいところ住んで、というのをやっていました。

その最中、東日本大震災が起きた。津波で一瞬で家は流され、大事にしていたモノは海の藻屑となる光景を目の当たりにして、「お金やステータスに躍起になっている僕たちの今の生き方、働き方って本当に幸せなのだろうか?」ってお互い悩みました。その一つの要因になっているのが住宅コストだよねって話になって。

ご自身の中の気付きから始まったんですね。

– ウエスギ
その時にさわだと家自体の住宅コストを下げれれば可処分所得が圧倒的にあがり、住宅コストのために働くような生活スタイルからは抜け出せるんじゃないかという話になって。

都内でマンション買うと約4~5,000万円するけど、仮に300万ぐらいの家に住めば、余ったお金で夫婦ふたりで育児休暇を取って子育てしてもいいし、会社休んで家族で旅に出たり、地域活動に専念したり、一人暮らしだったら海外で勉強しても良いし、クリエイティブな選択肢がめちゃくちゃ増えるよね、と。

なのに現在総年収の60%を住まい周りに充ててるというのは本末転倒なんじゃないかと。高い家賃や住宅ローンの返済のために満員電車乗って帰った時に家族が寝てるのは不幸せだし、そういった生き方は、辞めようかという話になって。

– さわだ
web制作の仕事をしていると、1日中誰とも話さずパソコンに向き合ってることも多くて。5年後10年後とこの仕事をやり続けるイメージはあまりできなかったんです。もっと色んな人とコミュニケーションしつつ、自分のライフスタイルに近いことをライフワークにできればやりがいがありそうだと漠然と思っていました。

「住まい」は身近なテーマだけど、住まい方の選択肢が少ないことに日本人はあまり疑問を持っていないので、これを提案すれば自分たちのためだけでなく、社会的意義もあるんじゃないかと。

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まじめな話が続くと、必ず笑い話を挟むさわださん。手に持つのは、2015年末にYADOKARIが出版した新刊「月極本」!

どんな家が理想ですか?

– さわだ
最近「休日不動産」というのをやっているんですが、家をタダであげますという話がくるんですよ。

タダ、ですか??

– ウエスギ
今1,000万以下の空き家は儲からないから市場にはあまり出てこないんですが、空き家の60%が1,000万以下。その市場に出てこない物件を休日不動産で紹介してる。今後やろうとしてるのは「0円物件」の紹介です。最近仲介業者を通さずにCtoCでそういう流れがあるんですけど。

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ウエスギさんは、人に届く言葉の選び方がとても洗練されていて、頭にも心にもスッと入ってくるよう。

– さわだ
休日不動産では、そういった物件に日の目を当てて、使いたい人をどんどんマッチングしたいと思っています。

– ウエスギ
今ちょうど空き家が崩れそうな年代で分岐点だそうです。今を過ぎるとリノベーションや耐震補強でなんとかなる加減を超えてコストも数千万の新築と変わらない状況になってしまう。

– さわだ
今誰かが住んでちょっとでもテコ入れすればなんとかなる物件も多いんですよね。最近も軽井沢の空き別荘を無償で譲渡したいという連絡があり、見に行ってきたんですが、少しの手入れでまだまだ使える。近い将来、家は0円で渡す、貰う、シェアするものになる気がしています。

そんな拠点を複数持って、旅するように季節ごとに気持ち良い所に住みたい。様々な拠点で暮らしてみて、最終的に自分に最適な場所が見つかればいいなと、今はそのご縁を探しているところです。

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宇宙船のような丸い窓にかかるYADOKARIさんの本棚。興味深いタイトルがたくさんありました。

盛り上がってきましたが、前半はここまで!

最近巷で「ミニマリスト」ブームが起こりつつありますが、その立役者は間違いなくYADOKARIさん。3年前から、お金や時間に縛られないスモールライフに早々に注目されていて、まさに先駆者ですね。

後半ではおふたりの理想の住まいや、オススメの世界のスモールハウスが登場します。2時間で建てられる家?!などワクワクするような話が盛りだくさん。そして鍋をつついているだけではなく、住まいと食卓についてというKitchHikeな話題も飛び出します。お楽しみに。