こんにちは、KitchHike編集部の岩井です。
KitchHikeが注目する人に「食」を切り口にしてお話を聞きに行くインタビュー企画。気付けば早くも第7弾!今回、登場いただいたのは『ビール女子』編集長の瀬尾裕樹子さんです。
なんと瀬尾さん、今でこそWebマガジンの編集長ですが、元々はブリュワリーで実際にビール造りをしていたとのこと。東京農業大、信州大で生物や栄養を専門に学んでいたプロフェッショナル。本人曰く、ビール栄養士!
醸造所での勤務経験を経て、ビールの魅力や可能性を広めたいと一念発起したそう。今日は、ブルワリーでの体験や、ビール女子を立ち上げるきっかけについてお話を伺います。早速インタビュースタートです!

食やビールに興味を持ったきっかけとは?
– KitchHikeマガジン編集部 (以下、太字)
今日はよろしくお願いします!大学では生物学系を勉強して、栄養士の資格をお持ちとのことですが、食やビールに興味を持ったきっかけは何だったんですか?
– 瀬尾裕樹子さん (以下、敬称略)
食の興味は幼い頃からあって、大学時代に栄養師の資格をとりました。その後は、管理栄養士として突き詰めてやるよりかは、生物の基本を勉強してみたいと思って、生物学が学べる長野の信州大に進みました。
って、言いましたけど、そんなちゃんとした理由じゃなくて、長野を選んだ本当の理由があるんです(笑)
え!気になります!なんですか?
– 瀬尾
私、実はスノーボードが大好きで。東京農大を卒業してからもスノーボードができる環境にいたいなと思い、練習環境が整っている長野を選んだんです。スノーボード好きが高じて、インストラクターにもなって、大会とかにも出ていたんですよ。
そんなご経歴もお持ちとは、驚きです!大学卒業後はなぜブリュワリーに就職しようと思ったのですか?
– 瀬尾
大学を出たあともスノーボードを続けられる仕事はなんだろう(笑)と探した結果、ブリュワリーを選びました。動機不純ですかね?そのブリュワリーは、レストランも併設していて夏場はめちゃくちゃ忙しいんですけど、冬場はしっかり休めるので、スノーボード三昧もできる!と思って、就職しました。生物学系出身ということもあり、ブリュワリーでビールを作る仕事は、親にも言い訳が立ちますし(笑)

そんな動機でビールとの縁が始まったわけですね。ブリュワリー時代のお仕事について教えてもらえますか?
– 瀬尾
小さな醸造所だったこともあって、資材調達からビールの製造、販売まで、ビール作りに関わるすべてのこと経験しました。おまけに、併設レストランで接客もしていましたよ(笑)。
とにかく忙しかったですが、自分が造ったビールをお客さんに飲んでもらうところまで見届けることができたので、とてもやりがいがありましたね。
特に印象に残っていることはありますか?
– 瀬尾
イベントに出てビールを売る仕事もしてましたね。なかなか売れなくて気落ちしてたところに、やっと1本買ってくださったお客さんが現れたんです。自分が愛情込めて造ったビールが、たった1本でも売れた喜びは今でも忘れないです。
あと、ブリュワリーのタンクから直接グラスに注いだビールは絶品ですね!タンクから直接出すビールは香りが飛んでいないので、より一層おいしいんですよ。

ブログから始まった『ビール女子』
『ビール女子』を立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。
– 瀬尾
醸造所のレストランでの接客で感じたことが最初のきっかけでした。避暑地だったこともあって、観光客とかお金持ちの人とか、とにかくいろんなお客さんが来るレストランでした。でも、たいていのお客さんはビールを頼むとき、「とりあえず生!」と言うんですよね。うちで扱っているビールは全部生だぞ!と心の中で毎回思っていました (笑)。
いろいろな種類のビールを提供していたのですけど、「普通のビールがほしい」というお客さんがいたり。発泡酒はおいしくないから飲みたくないと思い込んでいるお客さんがいたり。
接客をしている中で、世の中がビールに抱いているイメージや知識を肌で感じました。ビールってよく飲まれているけど、意外とビールについて知らない人が多いんだな……と。そこで、ビールの魅力や可能性をもっと多くの人に知ってもらいたいなと思うようになったんです。

女子目線で発信しようと思ったのはなぜですか?
– 瀬尾
当時、お酒は大人のオトコの趣味、って取り上げられ方が多いなと感じていましたね。女性目線で語られた記事なども少なかったですし、もっといろんな視点でビールを語れると盛り上がりそうだなと思ったんです。
なるほど。その後すぐにビール女子を立ち上げたんですか?
– 瀬尾
まずは自分でやってみよう!と思って。小さなブログからスタートしました (笑)。一人で続けているうちに、同じ志を持つ方から連絡をもらったんです。実は今所属している会社の社長なんですが。
続けているうちにだんだん反響が出てきて、ウェブマガジン化して会社に入ってフルコミットすることになりました。一人で細々とやっていたときより、一緒にやるメンバーが加わったことにより、本気にならざるを得なくなったとも言えますね (笑)。
ドイツで感じたビールの多様性
ブルワリーを退職後、ヨーロッパに遠征されていたそうですが、その時のエピソードを教えてもらえますか?
– 瀬尾
仕事をやめたあと、ビールの本場で現地の人々の暮らしを体験してみたい、ドイツで暮らしてみたいと思って。それでまずは1ヶ月の間、知人のいた北部の小さな村でホームステイしました。まずは本場の家庭料理を食べてみたいなと思って、ホームステイ先のおばあちゃんに頼んでみたんですけど、ドイツの伝統料理だよと言いながら出してくれたのがロールキャベツでした。
日本ではよく食べられていますが、ドイツでは伝統的すぎて、普段あまり食べないらしいんです。日本ではコンソメスープやトマトスープで煮込みますが、その家庭ではグレイビーソースをかけてオーブンで焼くスタイルでした。やっぱり家庭の独特な味が出ている気がして、とても新鮮に感じましたね。

日本のロールキャベツと違うんですね!ドイツのビール事情はどんなものでしたか?
– 瀬尾
実はドイツには、日本ほど大きなビールメーカーがないんですよ。地域ごとにシェアをとっている中規模のメーカーがたくさん存在しているんです。オリオンビールくらいの中規模クラスがたくさんある感じ。ドイツの人たちは地元のメーカーのビールをこよなく愛している印象ですね。地元愛があって、あの雰囲気はとても好きです。
とはいえ、スーパーマーケットには他の地域のものも売っているので、ビールコーナーにはものすごい種類のビールがあって、初めて見た時はテンションが上りました (笑)!ビールの多様性、楽しみ方の幅がドイツにはあるなと肌で感じましたね。
ちなみに、ドイツで飲んだビールの中で、お気に入りはあります?
– 瀬尾
ホームステイ先のお父さんが好きだったということもあり、アインベッカーがお気に入りですかね。ドイツ北部にいたんですけど、この地域ではピルスナー系のビールが多かったです。
いろいろ飲み比べていると、それぞれの味、飲みやすさの違いに気付けて、最終的にアインベッカーに落ち着いたという感じです。夜はホームステイ先の家族みんなで、アインベッカーを飲みながら録り貯めたサッカーを観るのがとても楽しかったですね。

盛り上がってきたところですが、インタビュー前編はここまで!
導かれるようにビールの道に進んだ瀬尾さん。醸造所勤務から本場ドイツのビール巡りまで経て、いよいよビール女子が本格始動。インタビュー後編では、『ビール女子』編集長として、日々ビールのある現場に立ち続けている瀬尾さんが感じるビールの可能性についてじっくりお話を伺いたいと思います。
瀬尾さんにとってビールとはどんな存在なのでしょうか?お楽しみに!
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