山あり谷ありの男の人生 今日もひと山登ったあなたに「おつかれ山」  HOPPIN’GARAGE ビール第13弾・前田さんの『おつかれ山ビール』乾杯レポート

2018年10月に始まった『HOPPIN’ GARAGE』。
「こんなビール、あったらいいな」という熱い想いを持った人が、つくりたいビールをサイト上で応募して、HOPPIN’ GARAGE事務局の審査の上で選ばれた人がサッポロビールのブリュワー(醸造責任者)と一緒にオリジナルビールを製造するという、ビール好きにはたまらないプロジェクトです。

HOPPIN’ GARAGEのオリジナルビール第13弾となる「おつかれ山ビール」を企画したのは、登山アプリを手がける「YAMAP」に所属している前田央輝(まえだひろあき)さん。「お酒と自然と子供をこよなく愛するフーテンのアウトドアガイド」のイメージそのままに、立派な髭をたくわえやさしい表情ながらも自然と人を大きく受け止める包容力と強さを感じる方です。

そんな前田さんが考案した「おつかれ山ビール」は、”山”を登った人がホッとひと息つけるビール。ビールがおいしく飲めるよう、乾杯の前に初心者でも楽しめるトレッキングツアーを開催しました。

■おつかれ山ビール乾杯の前に、みんなでトレッキングツアー

今回のオリジナルビールお披露目会は、乾杯の前にビール企画者である前田さんがガイドとなり鷹取山(神奈川県逗子市、標高133m)に登りました。集合場所で参加者全員の自己紹介の後、YAMAPのアプリをダウンロード。アプリの操作方法を確認して出発です!前日の雨の影響で、山道のぬかるみや草木からの湿気を感じるところがあり、自然の中にいるのだと実感します。登山道の分岐点に着くとYAMAPを開きどの道に進むのかを確認してみたり、時々、頂上までの時間や距離、等高線などを調べたりしながら登っていきました。

山の木々がぽつんぽつんと黄色や赤に彩り、秋の気配を感じる10月下旬の鷹取山。途中、小川を渡ったり、岩道を歩いたり、鎖道を登ったりと低い山ながらも様々な道が楽しめます。

山頂は360度のパノラマ。数日前に初冠雪となった富士山やスカイツリー、観音崎などが見え、息を切らしながら登ったつらさはこの景色を見ると吹き飛んでいきます。登頂した達成感で、早くもビールが飲みたくなってきました。

道々では、ひげ隊長(前田さんのあだ名)のおもしろトークに参加者の山ガール達から笑いがおこったり初対面の参加者同士がおしゃべりしたりと、にぎやかな3時間の登山があっという間に過ぎていきました。

■「おつかれ山ビール」のコンセプトは、白馬山荘から見た雲海から始まった

ひと山登った参加者ののどを潤したのは、もちろん「おつかれ山ビール」。汗をかいた日に、1日の終わりで飲むビールは最高! 乾杯ビールを飲んだ参加者の表情からは、なんともいえない幸せ感があふれ出ています。

さっそく、ビール企画者の前田さんに「おつかれ山ビール」のコンセプトと中身のこだわりについて聞いてみました。

「これまで一番思い出に残っているビールは、2018年に北アルプスの白馬岳の山小屋で飲んだビールです。目の前に雲海が広がって見事な夕焼けでした。その時のビールがおいしかった。

ビールの味というより、シチュエーションなんですね。だから、たくさん歩いてたくさん汗をかく。その日の終わりにその夕焼けを見ながら飲んだビールは最高です。今日の山は低い山でたった5kmですが、やっぱり登った後のビールはおいしい。

ビールの名前は『おつかれ山(やま)ビール』にしました。YAMAPアプリを閉じたときに『おつかれ山』って出てくるメッセージがあるんです。そこからアイデアをとって名前をつけました」と前田さん。

材料や味のこだわりとしては、「白馬山荘で飲むことをイメージして、アルコール度数は低めにしました。普段、自宅では『ホワイトベルグ』をよく飲んでいるので、それを大研究して今回のレシピを考えました」とのこと。うん、大研究されただけあって、味のバランスがよく、乾いた体に染みわたります。

「アウトドアでもおいしく飲めて、自分の出身が鹿児島でYAMAPが福岡にあるので九州にゆかりがある材料を使って……と考えているうちに行きついたのが大分県のかぼす。そして、山登りではよく食べる塩のタブレットをヒントに、塩を入れてもらいました」(前田さん)

■ベルジャンホワイトをイメージして岩塩でほんのり塩味に

「おつかれ山ビール」を担当したサッポロビールのブュリュワー蛸井 潔さんに、どのような醸造を手掛けたかを聞いてみました。

「前田さんとお会いした印象は、いかにも山男という感じでした。懇親会では人生論まで話題が広がり話が弾みましたね。

今回のビールは、『ホワイトベルグ』に近いベルジャンホワイトのスタイルをイメージしました。小麦麦芽をたっぷり使って、コリアンダー、オレンジピールの部分は大分産のかぼすで爽やかさを出しています。ゴクゴク飲めるようにアルコールを低めにしています。隠し味に岩塩のアルペンザルツを使っています」(蛸井さん)

おつかれ山ビールをどんな時に飲みたいかとの質問に、蛸井さんは「このビールを作り終わったときにゴクゴク飲めた」と、うれしそうに語っていました。

なるほど、おつかれ山ビールの飲みやすさは、爽やかな大分産のかぼすと塩味にあったんですね。柑橘類のほのかな香りとアルコール度数が3%と低めなこともあって、ゴクゴク飲めてしまうのも納得です。

■山から見える雲海がビールに見える!?

次に、ラベルデザインを担当した茅原さんに、ラベルデザインについてお聞きしました。

「ラベルデザインについては、前田さんから2つのアイデアをいただきました。1つは雲海のグラデーションです。ビールが飲みたい気分の時に夕焼けの雲海をみると、そのグラデーションがビールに見えてくるとのこと。山の稜線を泡の波に見立て、稜線近くは白く、そしてだんだんとビールの黄色へとつなげていきました。

2つめのアイデアはカラビナです。カラビナは登山道具で金属製のリングで、ロープやハーネスをつなぐ重要なアイテムなんです。カラビナをビールジョッキの持ち手に見立て、ロープはジョッキを握った手にしてみました。

これは私のアイデアなんですが、おつかれ山ビールのアルコール度数は3%ということで、漢字の『山』を3に見立てました」

山のモチーフがラベルにちりばめられているんですね。そのためか、山頂で乾杯している気分になってきます。

■人生は山だらけ、だから「おつかれ山ビール」で乾杯

前田さんがアウトドアを始めたきっかけはお父さんでした。小学生の時は無理やり連れていかれたので面白くない。でも、大学生の頃に川下りが大好きになり、川下りをするために山登りを始めました。それから屋久島に行って川のガイドをしたり、サーフィンをしたりして、アウトドアのジャンルでも川や山、海と幅広く経験を積んでいったのです。

前田さんは、「自然からたくさんのことを教えてもらった」と言います。自然の中で起こることは、実は都会の生活で起こるトラブルや悩みとも共通していることがたくさんあるそうです。そして、自分ではどうしようもない力を持っている自然の中にいると、「自然の中では自分はちっぽけな存在なんだ」と感じたそうです。そんな経験から、前田さんは「みんなと仲良く、みんなと楽しく」を大事にしています。

「実際に山を登らなくても、人は毎日、人生の山を登っているんですよね。たいしたことのない低い山かもしれない、見えない山かもしれないけれど、人は毎日、登っては下るを繰り返している。だから、登った後は自分に乾杯して、明日またがんばろうって思うんです」という前田さんの言葉からは、「みんなと仲良く、みんなと楽しく」だけでなく労いやエールを感じます。

このお披露目会で初めてご自身が企画したおつかれ山ビールを飲んだ前田さん。感想を聞いてみると、「最初に飲んだ時は、以前、東京で飲んだベルギービールに似ていて思い描いた味だと感じたのと、ベルギーと九州のミックスだなと感じました。それと、今日は下見とイベントとで2回山に登ったせいか、最初の乾杯では塩味を感じました。今はかぼすの味わいを感じますね」と、イメージ通りのビールに大満足。

そして、「まさか、自分がビールを作れるとは思ってもみなかった。山をつくるとか、海をつくるとかと同じ意味ですよ」と満面の笑みをたたえながら感激の声をいただきました。

さて次回のオリジナルビールお披露目会は、ボードゲームをしながら飲むビール、「ボードゲームビール」です。いったい、どんなビールなんでしょうか? そしてそして、ビールのボードゲームでも遊べちゃうようです。楽しみですね!